豊島区議団への公開質問状 : 人種・民族差別団体への豊島公会堂の貸与について

bigstock-Hands-joined-34436402レイシズムを監視する市民の会:連帯JPでは、来る2014年3月16日に豊島公会堂で行われる、悪質な人種・民族差別団体「在日特権を許さない市民の会」が主催する「特定秘密保護法の活用と発展を目指す国民集会」が、これまでの前例から政治的主張に名を借りたレイシズム集会であるもので、豊島区の理念に反した形で使用されるものと考えました。

これについて、豊島区区議会の主要な区議団に対して、以下のような公開質問状を提出し、公明党豊島区議団・自治みらい豊島区議団・日本共産党区議団から回答を頂きました。(豊島区自民党区議団は回答なし)

つきまして、この公開質問と各区議団の回答を以下のとおり発表いたします。



 




豊島区の人種・民族差別を根絶するための取り組みについて

差別主義右派政治団体への豊島公会堂の使用について

【公開質問状】

豊島区が、公益財団法人としま未来文化財団(理事長 高野之夫)に管理運営を委託している「豊島公会堂/みらい座いけぶくろ」(東京都豊島区東池袋1-19-1)において、来る2014年3月16日(日)に、「特定秘密保護法の活用と発展を目指す国民集会」と題した、「在日特権を許さない市民の会」(以下「在特会」)が主催となる政治集会が行われます。

この集会は、豊島区の同施設の利用規約に抵触する政治的な集会であるばかりでなく、主催団体および協賛団体は、過去いくつものヘイトスピーチ(差別憎悪扇動)デモや街宣活動を通じて、以下のように深刻なヘイトクライム(差別憎悪犯罪)を公安又は風俗を害した経歴があります。

過去、このような差別主義的な犯罪団体について、山形県のように毅然とした処置で、言論および思想の如何に問わず、公安良俗を反し、法律に違反する事例を鑑みて、県の施設の貸出しを拒否した事例もあります。

東京オリンピックを控えた東京都では、日本が批准してすでに発行している国連の人種差別撤廃条約の「国又は地方の公の当局又は機関が人種差別を助長し又は扇動することを認めないこと」(同条約第4条(C))を地方自治体の裁量の中で行うべきものと考えます。

豊島区は「多様性を尊重し合えるまち」をめざし、多文化共生の推進と平和と人権の尊重を区のテーマとして挙げられております。そのような取り組みをされている豊島区議会の各会派の人種・民族差別に対する取り組みをどのように考えるかを明確にして頂くことにより、この問題について、心をいためる豊島区民および日本全国の人たちに、現在の地方議会や行政の考え方を知って頂くことになるとの考えに至りました。

つきまして、私たちは貴団体に下記の公開質問をいたしますので、別紙資料をお読みいただいたうえで、それぞれの質問について、理由を付して、具体的に文書にてご回答をお願いいたします。恐れ入りますが、ご回答は豊島区公会堂を使用する差別団体の集会が行われる前、3月14日までにいただければ幸いです。

なお、この質問に対するご回答につきましては、その有無も含めて、当団体のホームページ http://solidarity.jp/ に掲載し、必要に応じてメディアに対して情報を提供いたしますので、その点を考慮されたうえでご回答をお願いいたします。

 

【質問内容】

1. 明らかな人種・民族差別に基づいたヘイトスピーチを繰り返す団体が、現在言論活動に名を借りた行為をしていることについて、どのように考えているのか。

2. オリンピックを控える東京都の区として、国連の人種差別撤廃条約の「国又は地方の公の当局又は機関が人種差別を助長し又は扇動することを認めないこと」(同条約第4条(C))の実施をどのように行うべきと考えているのか。

【質問の背景】

1.豊島公会堂集会の主催団体:「在日特権を許さない市民の会」について

在日特権を許さない市民の会(以下「在特会」)は、排外主義的な思想をもとに、数々のヘイトクライム(人種民族憎悪犯罪)を犯してきた団体です。

これまで、フィリピン人の家族の住む団地に「不法入国者は出て行け」と連呼するデモや新大久保のコリアンの居住地域に「韓国人を皆殺しにしろ」と連呼したり店舗の営業を妨害する悪質なデモを行っています。また、京都の朝鮮学校に「ゴキブリウジ虫、スパイの子供を殺せ」などという街宣活動をおこない、学校の関連施設に乱入するなどして、京都地裁の民事裁判では1200万円の賠償命令判決が出ております。なお、この判決では「在特会の街宣は言論の自由を逸脱した人種差別である」とも認められました。

これまで、各種の別の政治活動を標榜したデモなどで、同じように人種・民族差別的なシュプレヒコールなどを行っており、政治的な主張はあくまでも隠れ蓑にすぎないもので、人種・民族差別的な目的で行っていることは明らかです。また、これらのデモや集会などにおいて、これまで多数の逮捕者を出していることも、公安又は風俗を害することが予想されます。

なお、協賛団体の中には、ナチス思想を標榜しヒトラー生誕祭などを行い、デモなどではハーケンクロイツ(鍵十字)のナチスの旗を使い、ネオナチ思想を公然と主張する瀬戸弘幸の団体も入っており、豊島公会堂で同種の主張をなした場合、アンネの日記の公共図書館での破損事件とのからみで、オリンピックを前にした東京の国際問題ともなりかねません。なお同会の活動は海外で広く報道されており、今回も海外メディアの取材が行われる可能性があります。

このように在特会は悪質なヘイトスピーチをなし、かつヘイトクライムまで行う人種差別団体であり、これらは米国務省2013年版の人権報告書でも名指して非難されております。

[参考] 参加団体のこれまでの犯罪歴———————————————————–

2009.12.4 侮辱罪・威力業務妨害罪・器物損壊罪・組織犯罪処罰法違反
川東大了(当時在特会副会長)、西村斉(当時在特会京都支部運営担当)、中谷辰一郎(当時主権回復を目指す会関西支部長)、荒巻靖彦(当時同会関西支部事務局長)

京都朝鮮学校襲撃事件。在特会(在日特権を許さない市民の会)や主権回復を目指す会の関係者が京都朝鮮第一初級学校に押しかけ、同校が隣接する児童公園を「不法占拠」しているなどとして、拡声器も用いながら「お前らウンコ食っとけ、半島帰って」「スパイの子どもやないか」「朝鮮学校を日本から叩き出せ」「密入国の子孫やんけ」などと街宣し、設備を破壊。京都朝鮮学校側は刑事告訴し、最高裁判所にて被告4名が有罪判決。後に民事訴訟にて京都地裁より在特会は1200万円の損害賠償を命じられる。

2010.9.8 威力業務妨害・建造物侵入容疑
京都朝鮮学校襲撃事件で逮捕済みの川東大了、荒巻靖彦、西村斉のほか、在特会活動参加者の4名

徳島県教組襲撃事件。十数人と共謀し徳島市にある県教組の事務所に侵入し、拡声器で「売国奴」などと怒鳴り、職員の業務を妨害し中断させた疑い。計7名が逮捕され、そのうち起訴された6名の有罪は確定。

2011.12.19 公務執行妨害
溝上邦明 (在特会デモ常連参加者)

JR新橋駅前(東京都港区新橋)の路上で、野田首相の演説会場で警視庁機動隊の男性隊員(28)ともみ合いになった男が、持っていたベニヤ板のプラカードで隊員の頭部を数回たたき、公務執行妨害の現行犯で逮捕された。

2012.3.11 建造物侵入
桜田修成 (在特会デモ参加常連者・在特会関連団体「新社会運動」代表)

 自由民主党本部の敷地内に、抗議の目的で無断で侵入したとして、建造物侵入の現行犯で、自称東京都目黒区祐天寺、派遣作業員、桜田修容疑者(50)を逮捕。

2013.2.11 脅迫
品川区の28歳男性会社員(28)(在特会・瀬戸弘幸主催デモ常連参加者)

在日韓国人でフリーライターの女性の記事に腹を立て、インターネットの掲示板に脅す内容の文章を投稿したとして、大阪府警警備部は3日、脅迫の疑いで、東京都品川区の男性会社員(28)を書類送検。 警備部は、起訴を求める「厳重処分」の意見を付けた。

2012.5.10 強要罪
西村斉、荒巻靖彦、松本修一、三好恭弘(在特会の支持者)

ロート製薬強要事件。ロート製薬がCMに韓国人女優キム・テヒを起用したことに対して大阪生野区のロート製薬本社へと抗議活動を行ない、「知り合いの右翼を呼ぶぞ!」という総会屋紛いの恫喝と更に「俺は同和出身や!差別するのか!」というエセ同和行為まがいの発言の数々を行う。参加した4名を強要罪の容疑で大阪府警が逮捕。大阪地裁で有罪判決が出たのち係争中。

2013.5.20 暴行
赤井洋(在特会・日本侵略を許さない国民の会デモ常連参加者)

東京・新宿であった在日コリアンの排除を掲げるデモで、対立グループのメンバーに体当たりしたとして、暴行の疑いで自称埼玉県熊谷市拾六間、元自衛官の無職容疑者(47)を逮捕した。

2013/6/13 暴行
桜井誠(本名:高田誠・在特会代表)・前田智子、他2名(在特会デモ常連参加者)

東京都新宿区新大久保で起きた在日韓国人らを非難するデモを巡って乱闘で逮捕。うち2名が起訴。

2014.2.2 暴行・傷害
高畑禅 (在特会デモ常連参加者)

JR川崎駅京浜東北線ホームで、都内に住む男性会社員(38)を、自身の参加する排外主義デモの反対者と勘違いし、鉄製の模造刀(刃渡り約55センチ)で切り付け、左手に5日間のけがを負わせた

2.豊島区公会堂の提供について

人種・民族差別を行う政治団体が政治活動目的で、豊島公会堂を使うことは明らかであり、これは豊島公会堂のウェブサイトに明記された利用規約に反しております。

また参加する協賛団体に、政治資金収支報告を提出している政党である維新政党・新風(代表:鈴木信行)も名を連ねており、政治活動がこの集会の目的であることは明らかです。

また、これまでの数々の犯罪(ヘイトクライム)および豊島区の多文化共生および人権の尊重に反する行為は、豊島区立豊島公会堂条例第1条の精神に反するばかりか、施設の利用を承認しないケースと定めた第4条にも該当いたします。

[参考] 豊島区立豊島公会堂条例

第1条 この条例は、豊島区立豊島公会堂(以下「公会堂」という。)の設置、管理及び使用料について必要な事項を定め、もって区民の福祉を増進し、かつ、文化の向上を図ることを目的とする。

第4条  次の各号のいずれかに該当するときは、利用を承認しない。
(1) 第1条の目的に違反すると認められるとき。
(2) 公安又は風俗を害する虞れがあると認められるとき。
(3) 管理上支障があるとき。
(4) その他区長が必要と認めるとき。

3.豊島区のめざす「多文化共生社会」を守るため

このような公安又は風俗を害する人種・民族差別団体に公共施設である豊島公会堂を貸し出すことは、豊島区が人種差別に加担しているのと同じということになりかねません。豊島区民の中にも在日コリアンや国籍や民族人種が違う人たちが居住しておりますが、彼らの人権と安全を守る義務が豊島区にはあるはずです。

4.豊島区公共施設担当者の見解と過去の使用取り消し事例

豊島区公共施設担当者の見解では、同団体は政治団体とはみなしておらず、かついったん出した許可を取り消すことはできないとの回答がありました。が、同団体が政治団体であることは明らかであり、かつその排外主義的かつヘイトクライム(憎悪犯罪)をたびたび成すことから、公安又は風俗を害する団体であることも明らかです。

なお過去には、山形県が山形県生涯学習センターの使用を同会に許可したあと、同団体の実情を後から把握し、「在日特権を許さない市民の会については、最近の逮捕事案を含む過激な活動状況をみれば、山形県生涯学習センター管理要綱に照らして、山形県生涯学習センター条例第3条第1項(使用の不許可)第2号(センターの管理上適当でないと認めるとき)にあたる」として使用許可を取り消した事例もあります。

以上





【各区議団からの回答】

公明党豊島区議団・自治みらい豊島区議団・日本共産党区議団から回答を頂きました。(豊島区自民党区議団は回答なし)


◇公明党豊島区議団

Q1.明らかな人種・民族差別に基づいたヘイトスピーチを繰り返す団体が、現在言論活動に名を借りた行為をしていることについて、どのように考えているのか。

A1. まず憲法に保障されている「集会、結社の自由」はこれを守り、次に地方自治法に定められている「地方公共団体は、住民が公の施設を利用することについて、これを拒んではならず、不当な差別的取扱いをしてもならない」ということを私どもも順守すべきであると考えております。「在日特権を許さない市民の会」は犯罪行為や問題のある言動を行っているとのご指摘であります。しかしそれをもって、登録された組織的暴力団体でない限り、現状の法律や条例、規約では施設の利用を拒むことはできないのであります。すなわち、その施設で行われる会合で、まさに公序良俗に反し、反社会的な活動を行うことが明確である場合のみ、利用を拒み、使用を禁止することができると考えております。なお、豊島公会堂の案内にある注意事項に政治活動のための利用はできないとの事項がありましたが、これは間違いであり、事実、私どもも政党の活動で利用していることから、としま未来文化財団に対し厳重に修正・削除を申し入れました。利用申請者に対し、大きな誤認を与えたことは、問題であると認識しております。

Q2.オリンピックを控える東京都の区として、国連の人種差別撤廃条約の「国又は地方の公の当局または機関が人種差別を助長し又は扇動することを認めないこと」(同条約第4条(C))の実施をどのように行うべきと考えているのか。

A2. 公明党ならびに同豊島区議団はこれまでも多文化共生の理念を地域においても推進すべく議会等でも発言を重ねてまいりました。国と国の間に境はあっても、人と人の間に境を設けてはならないというのが私どもの理念であります。オリンピックについても、本区に競技会場が設けられる予定はありませんが、その機会に、より多くの外国の方々に来街していただくべく、受け入れ態勢について熟慮を重ねている最中であります。いずれにしても、この地上に人種差別はあってはならないとの認識であります。


◇自治みらい豊島区議団

Q1.明らかな人種・民族差別に基づいたヘイトスピーチを繰り返す団体が、現在言論活動に名を借りた行為をしていることについて、どのように考えているのか。

A1.新大久保の商店街などで、明らかに人種差別・民族差別・人権侵害であるヘイトスピーチを繰り返すデモなどが行われていることには、私どもは強い憤りを感じております。そして、未だにヘイトスピーチに関する法的規制がないことを残念に思っています。

Q2.オリンピックを控える東京都の区として、国連の人種差別撤廃条約の「国又は地方の公の当局または機関が人種差別を助長し又は扇動することを認めないこと」(同条約第4条(C))の実施をどのように行うべきと考えているのか。

A2.2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催は、日本が平和国家であり、人種や民族に関わりなく世界の人々と共存することを前提として開催されるものです。したがって、国連の人種差別撤廃条約については、厳正に守らねばならないと思います。
豊島区は2013年2月、全国初の「虐待と暴力のないまちづくり宣言」を議会で全会派一致して可決しました。平和行政にも、私どもの会派は積極的に発言しています。これからも、具体的な施策について地道に取り組んでいく必要があると思っております。


◇日本共産党豊島区議団

Q1.明らかな人種・民族差別に基づいたヘイトスピーチを繰り返す団体が、現在言論活動に名を借りた行為をしていることについて、どのように考えているのか。

A1. 特定の人種や民族、国民に対する常軌を逸した攻撃(ヘイトスピーチ)は、民族差別を助長するものであり、集会結社の自由や表現の自由があるからといって、問題となったような街頭宣伝は許されないと考えます。国連の社会権規約委員会が日本政府にヘイトスピーチや憎悪表現を防ぐよう勧告しており、行政当局には、しっかりとした対応が求められるし、ヘイトスピーチを許さない世論を強めることが大事です。

Q2.オリンピックを控える東京都の区として、国連の人種差別撤廃条約の「国又は地方の公の当局または機関が人種差別を助長し又は扇動することを認めないこと」(同条約第4条(C))の実施をどのように行うべきと考えているのか。

A2.質問内容1でも回答しましたが、自治体の長である区長が、人種差別に反対であることを明確にすることが重要と考えます。

以上